東京女性財団助成事業 女たちの証言 労働運動の中の先駆的女性たち 企画 石堂清倫 監修 鈴木裕子 製作 工藤充 製作助手 桜井知之 撮影 瀬川浩 演出助手 小高美奈 宗田喜久松 堀山博子 録音 瀧澤修 撮影助手 宮武嘉昭 田辺信通 柳田義和 解説 喜多道枝 瀬川龍 原版編集 加納宗子 相馬健司 山田達也 音楽 湯浅譲二 谷峰登 ピアノ 高橋アキ 資料提供 鈴木裕子 鍋山歌子 大竹一燈子 橘一美 福永基三 国文社 新教社 柏書房 平凡社 大月書店 三一書房 築地書館 勁草書房 岩波書店 新宿書房 関西学院大学 国立国会図書館 れんが書房新社 朝日新聞社 毎日新聞社 ユニチカ記念館 大原社会問題研究所 大阪府立中之島図書館 アオイスタジオ IMAGICA ■撮影記録 ●鍋山歌子氏宅 座談会 1982年(昭和57年)6月 ●福永操氏宅 インタビュー 1983年(昭和58年)5月 ●山内みな氏の実家(宮城県歌津町) 1983年(昭和58年)8月 ●山内みな氏 荻窪の店 1983年(昭和58年)5・12月 ●石堂清倫氏 インタビュー 1986年(昭和61年)4月 ●鍋山歌子氏 インタビュー 1995年(平成7年)12月 ●大竹一燈子氏 インタビュー 1996年(平成8年)2月
記録映画 女たちの証言―労働運動の中の先駆的女性たち―1920年代の大衆的社会運動の発足に加わった先駆的女性活動家が、男性とともに光をかかげて進む途上で、女なるがゆえに経験しなければならなかった差別と隷従が、いま尚解決されていないことがここに語られている。 1996年7月 石堂清倫 ―監修者のことば―
長い間、労働運動や社会主義運動のなかの女性や女性活動家たちのことは脇役≠ニして歴史の片隅に登場させられることがあっても、真正面にすえられることはなかった、といえるのではないでしょうか。女たちの問題は主要なものではない、第2義的なものだといった性差別主義≠ェ正当な評価や検証を怠らせてきたといえます。
ちょうどそれは、今日ようやく社会問題化するにいたった日本軍「慰安婦」(日本軍軍事的性奴隷)問題が、実に40余年もの間、歴史の暗部≠ノおしこめられてきたのと切符をあわせていると思います。
このたび羽田澄子監督の映画「女たちの証言」は、当の証言者たちの肉声を通して歴史の中に生きた女性たちのなまの姿を浮かび上がらせるとともに、女性解放の視点から何が問題であるかをも、現代の私たちに静かに、しかし深く問いかけています。
その意味で社会主義運動史や女性史はもとよりフェミニズムに関心や心を寄せる多くの女性、市民の方々にぜひご覧いただきたく願っております。(1996年6月) 鈴木裕子 ■製作意図
1982年(昭和57年)6月、社会主義研究者、石堂清倫氏の主催する「運動史研究会」によって一つの座談会がもたれた。労働運動の中の先駆的女性たち数人の集まりであった。集まったのは、丹野セツ(渡辺政之輔の妻)、鍋山歌子(鍋山貞親の妻)、福永操(是枝恭二の妻)、山内みな(橘直一の妻)。いずれも大正から昭和にかけての社会的労働運動の中で活躍した人々である。かつてはともに運動した人たちであるが、、戦争をはさんで数十年を経たこの時期には立場を異にする人もあり、このような会合は珍しいことであった。それを記録しておきたいという主催者の意向によって、私は座談会を撮影することになった。
その後フィルムは私のそのまま手元にあったが、十数年を経るうちに、出席者の大半はなくなられた 。社会主義的労働運動による、女性の解放を目指したこの人たちの闘いは、日本の女性運動の中の重要な歴史であり、この人々の姿と肉声は、思えば貴重な記録である。問題は大きく、しかし素材は限られているため、作品にすることを長くためらっていたが、取材に応じていただいたこの人たちの歴史をとどめておきたいと言う思いが強く、このたび可能な限りの素材を撮り足して、思い切って一つの作品としてまとめた。
この作品は女性史研究者、鈴木裕子さんに監修を引き受けていただいたことで、ようやく仕上げることが出来た。鈴木さんは1982年座談会の司会者でもあった。そして10数年をへだてて、締めくくりをしていただいたことになる。この映画は、女性問題・女性史に対して、ひとつの焦点を当てることが出来るのではないかと思う。
最初にカメラを担当した瀬川浩氏は、1986年2月急死された。作品の完成を見てもらえなかったのが残念である。1996年6月 羽田澄子