続「住民が選択した町の福祉


   問題はこれからです
製作 工藤充 撮影助手 相馬健司
演出 羽田澄子 谷峰登
撮影 西尾清 藤田恵太
録音 瀧澤修 録音助手 伊藤裕規
製作助手 櫻井知之 ナレーション 喜多道枝
演出助手 佐渡京子 ピアノ 高橋アキ
(サティ・ピアノ音楽全集東芝EMI)
協力 鷹巣町の皆さん 片岡豊(デンマーク社会研究協会理事長)
財団法人たかのす福祉公社 キム・ペーダセン(デンマーク大使館)
特別養護老人ホーム青山荘 加藤武彦(歯科医師)
社会福祉法人東京老人ホーム 永井清(映像提供)
戸田・芳賀建設共同企業体
外山義(京都大学教授)
クリプリ アオイスタジオ
ヨコシネディーアイエー
資料提供 秋北新聞社
縣北新聞
続「住民が選択した町の福祉」問題はこれからです
羽田澄子

 前作「住民が選択した町の福祉」(1997年1月)は、福祉を公約に掲げて当選した若い町長が、住民に参加を呼びかけてつくったワーキンググループの活動に支えられて、町の福祉が変貌していく様を描いた。
 町のホームヘルパーの数は全国トップレベルにあり、24時間在宅ケアも行われている。だが施設の整備は遅れていて、在宅複合型施設であるケアタウン構想が議会に出されるが、反町長派が多数で否決される。町議選を経て、この構想は、1票の差でようやく議会を通過する。映画はここで終わっている。
 「安心して老いるために」でデンマーク、スウェーデンを取材したとき、痛感したのは「民主主義を土台にしなければ、本当の福祉は築けない」ということだった。北欧の進んだ福祉を生み出した基盤は政治・社会のあり方にあるのだ。しかし北欧の福祉のこの点に着目した政治家は、日本にはほとんどいなかった。ところが、秋田県鷹巣町の新人町長・岩川徹氏はここに着目したのだ。彼は本当に「住民参加」による福祉のまちづくりをはじめたのである。いまや「住民参加」はうたい文句として沢山つかわれている。しかし本当の「住民参加」がどのくらい行われているのだろうか。

 私は前作の完成後も町の様子が気になっていた。やっと議会を通過したケアタウン構想は、住民の積極的な参加とともに、形になっていく。「住民が選択した町の福祉」を観た人たちからも、「その後、鷹巣町はどうなりましたか」と聞かれる。とうとう昨年(1998年)4月から再び撮影を始めた。
 映画では、その後の町長の考え、議院や議会の対応、住民の活動、そして「ケアタウンたかのす」が機能するまでを追っている。今回はその間に、老人福祉にとって大きな問題となってきた介護保険に対する町の対応もとらえた。
 福祉はいまや地方自治体の政治のあり方を決定する大きなファクターである。鷹巣町は首長の強い意志によって、そのことに真っ向から取り組んだ自治体の一つである。いま鷹巣町は、日本ではハイレベルの福祉サービスを自治体として築き上げつつある。だが町は将来ともにこの福祉を、日本の風土、国情のなかで、維持、発展させていくことができるだろうか。
 「住民が選択した町の福祉」のラストで、ワーキンググループの1人が、やっとハードをつくる条件ができたが、「問題はこれからです」と言っている。同じ言葉が、いまの現状にもあてはまると、私は思っている。