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年をとって動けなかったり、呆けたりしたとき、地域社会に介護サービスのシステムがなければ、我々は安心して年をとることができないことを訴えた映画「安心して老いるために」を作ってから、はやくも6年になる。
この間に私たちは映画で提起したをもっと勉強できるようにと思い、2本のビデオ作品を資料編として作った。
「北欧の老人ケアシステム」「オーストラリアの老人ケアシステム」である。続いて「日本の老人ケアシステム」を作る予定であった。ところが日本の老人福祉は変貌の最中であり、かつサービスシステムの状況は紹介するには、まだあまりに貧弱であって、なかなか製作に着手できなかった。しかしこの数年で日本の老人福祉の世界は目覚しく変化した。厚生省はゴールドプラン、さらに新ゴールドプランを示し、老人福祉サービスの決定権は市町村にうつされ、各市町村は自らの責任で老人保健福祉計画を策定することになった。各地に特養、老健、デイセンターなどの施設が増えてきた。
ところが、これらの変化が追いつかないほど日本の高齢化のスピードは早い。サービスを受ける側からみると、サービスの量がまだまだ不足していて、必要とするサービスがなかなか手に入らないのが現状である。こういう状況のなかで急速に変化を見せているのが福祉に対する人々の意識である。福祉は特定の人に対する恩恵ではなく、助けを必要とする万人のものであるという意識が拡がってきている。意識の変化を背景に、老人福祉は各地でさまざまなスタイルで進められている。自治体が積極的に取り組んでいるところもあれば、民間の有力な組織がすすめているところもある。しかし、「安心して老いるために」取材で北欧の福祉を知ったことから痛感したのは、本当の福祉は民主主義の土台からでなければ育たないということである。地域社会の政治に住民の意思が正しく反映されなければならないし、その前提には住民の福祉に対する自覚がなければならない。そう思ったとき私が関心を思ったのは、秋田県の人口2万3千人の町、鷹巣町であった。この町では「福祉のまちづくり」をかかげた若い町長が、住民の自由参加によるワーキンググループ≠組織し、町民の提言を積極的に行政に取り上げる姿勢をもっていた。その結果、ホームヘルパーの数は現在全国のトップレベルにある。しかし、町長の政策はなかなか議会の支持を得られず、福祉施設の建設も難航していた。

そんな町の姿に地方自治体の民主主義のあり方を探ってみたい、この町で福祉がどうなっていくのかを見守りたい、と思ったのである。平成7年の春から1年あまり、町の状況は町長選、町議選を経てもまだ流動的である。この間、町長は何を考え、何をしたか。議員たちは何を考え、何をしたか。そして町民は何を考え、何をしたか。
町の福祉について住民と議会、そして町長と町当局それぞれの努力を記録した映画である。
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